●この作品は、秋の終わりに実る石榴と無花果を描いた、静かで深みのある作品です。赤く割れた石榴には命の力強さが、静かに熟した無花果には穏やかな成熟が表現されており、どちらも季節の実りと自然の恵みを象徴しています。姿水先生は、やわらかな筆づかいと落ち着いた色合いで、過ぎゆく季節の静けさと、そこに宿る豊かさを丁寧に描き出しています。見る人の心にそっと語りかけるような、優しく余韻のある一作です。
●秋掛けとしてお楽しみいただけます。
明治20年栃木県宇都宮に生まれる。本名は秀次郎。明治35年に上京し、初めは洋画を学び白馬会洋画研究所に通う。後に日本画に転じて、大正2年の第7回文展に《初秋の朝》で初入選する。大正6年に川合玉堂に師事した。帝展には8年の第1回から《薫風》《名残りの春》《田園新秋》などで連続して入選を重ね、14年に《暮るゝ春》で特選となり、昭和元年の第1回聖徳太子奉讃美術展にも出品し、翌2年に帝展委員となる。また3年には同門の磯部草丘らと戊辰会を結成し、5年の第2回聖徳太子奉讃美術展には無鑑査出品し、9年の帝展には審査員として《夕づく日》を出品した。13年には川崎小虎望月春江等と日本画院を結成し、創立同人として定期展に出品を行ない。また同年から新文展にも無鑑査出品を行なった。戦後は22年の日展に《びいるむぎ》を招待出品し、24年からは連続して依嘱出品を行った。大和絵による風景画で知られ、東京で没した。昭和47年没。享年86歳。
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